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インターネットが構築されて以降、「Play By ○○」を略した「PB○」という造語が数多く誕生しました。まず通信媒体が電子メールになった時、郵便を使用する従来のPBMと区別するため「PBeM(Play By e-Mail)」が広く用いられました。

Netscape(1994年)、Windows 95(1995年)、テレホーダイ(1995年)などによってインターネット利用環境が普及すると、日本では多くの同人PBeMが生まれました。黎明期の同人PBeMとしては、WWWの登場以前にメーリングリストを利用した重世界バームが存在します。WWWを利用したものでは1996年2月公開のエクレア地方開拓史が有名で、投稿メールが公開されるという、後のPBBに近いシステムを備えていました。

しかし商業PBMですら機械処理の割合を増やすなどマスタリングの効率化に苦心していた程で、無償でGMを務めるのは負担が大きく、同人PBeMの多くは更新が停滞しました。そして比較的GMの負担が小さい、掲示板やチャットを主とする形態が急速に増加しました。同人PBeMは小規模化し、GMの操るNPCと一対一の関係を構築する恋愛・育成シミュレーション型が現れました。

PBeMに代わって台頭した、掲示板を用いるPBBや、チャットを用いるPBCは、参加者同士でロールプレイをするだけでもある程度楽しめる点で優れていました。特にPBCは、版権作品のファンサイトやアダルトチャットなど、他の分野から新たな参加者を獲得しました。それに反比例して、かつてのPBM色は褪せて行きました。食玩からガム一枚を取ったら食品でなくなるように、ゲームシステムが完全に消えたものは「PB○」でないとする立場もあります。

「PBB(Play By Bbs)」「PBBBS(Play By BBS)」「PBC(Play By Chat)」といった言葉は、1998年から1999年に使われ始めました。しかし2000年頃までは、PBBやPBCも「PBeM」と呼ばれるのが普通でした。2000年以降、前述の名称に加えて、PBW情報サイトPlay@Web(2000年12月 - 2004年)の管理人である史那氏が造語した「PB3(Play By BBs)」も広く普及しました。

「PB○」が増えると同時に、その総称も模索されました。PBW検索サイト00Junction(1998年 - 2003年5月)の管理人である環巴氏は、「Play By Www」の略として「PBW」を造語しました。同氏はPBWの要件として、ホームページ上で遊ぶゲームであること、一人遊びではないこと、WWWブラウザ以外の独自のソフトウェアを使わないことを挙げました。また「PBW」はPBeM・PB3(PBBBS)・PBCに細分化されるとしました。一方、史那氏は「PBW」を「Play By Web」の略とし、その要件に「ごっこ遊び」であることを挙げました。

2007年8月現在、Wikipediaの「オンラインゲーム」の項では次のように説明されています。
テーブルトークRPGのチャットプレイ(オンラインセッション)や投稿参加型のマルチユーザーゲーム(定期更新型オンラインゲーム)など、必ずしもコンピュータによるゲーム進行処理やリアルタイム処理を必要としないゲームプレイも、オンラインの場で多数のユーザーを集めて行うものはオンラインゲームと呼ぶこともある(それらのうち、概ねサーバ処理を介さず、WWWコンテンツベース+管理者裁量による進行で行われるものは、特に「プレイバイウェブ」と呼ばれる)。
ちなみに「プレイバイメール」の項には、次のように書かれています。
電子メールやウェブサイトなどを利用したプレイバイウェブ型のものも増えつつあるが、サーバでの自動処理を使ったものなどオンラインゲームとの切り分けは曖昧である。

PBMがその当初、チェスやシミュレーションゲームの遠隔対戦手段であったことを考えれば、「PBW」をRPGや管理者裁量で進行するゲームに限定することが妥当とは限りません。「PBW」という語は、文字通り解釈すれば範囲が広過ぎて役に立たないでしょう。範囲を限定すれば、文字と意味が乖離して直感的に分かり辛く、異論も残るでしょう。厳密には電子メールはWWWに含まれないという問題もあります。

版権チャはPBeMを祖先としませんが、オリチャの影響で次第に「PB○」という表現を活発に使用するようになりました。版権チャ文化圏において、なりきりメールを「PBeM」と、なりきり掲示板を「PB3」と、なりきりチャットを「PBC」と呼ぶことは珍しくなくなりました。

余談ですが、海外の「PB○」には「PBP(Play By Post)」「PBI(Play By Internet)」「PBN(Play By Net)」「PBMB(Play By Message Board)」「PBB(Play By Board)」「PBB(Play By Blog)」「PBF(Play By Forum)」「PBW(Play By Wiki)」などがあります。遅くとも1995年中頃にはPBWという語が「Play By Web」の略として使用されています。

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